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里親Story #02 - Tokyo里親ナビ|子どもと里親の暮らしを知るサイト

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里親Story

里親Story #02

F子さん(47歳)

「2人の里子と、猫がいる暮らし。毎日が、充実です」

会社員のF子さんは、小学5年生のY子ちゃん、高校2年生のM恵さんの2人の里子を育てています。里親登録のきっかけは、東日本大震災。「困っている人を、助けたい」との思いから、実の親が育てられない子どもを育てる養育家庭(里親)制度に行きついたといいます。夫婦2人きりの生活から一転、2人の里子と複数の猫の大家族となったF子さんは「依然とは昔と比べものにならないくらい、充実した日々です」と、話します。

(聞き手・文・写真=清水麻子)

 

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(写真= 鈴木愛子)※写真はイメージです。

 

profile

F子さん <2012年、東京都の養育家庭(里親)に登録>

会社員。東日本大震災があった2011年、週末などの短期間だけ子どもを預かる東京都の「フレンドホーム」(※)に、夫(51歳)とともに登録。外に放置されていた複数の猫を保護し、一緒に暮らす。趣味は猫の観察、絵を描くこと、懸賞応募。

(※)「養育家庭(里親)Q&A」を参照

※年齢は2018年7月現在

きっかけは、東日本大震災。自分に何かできることはないかと考えて

━━里親さんになったきっかけから、教えていただけますか?

 

F子さん 2011年の東日本大震災です。震災後、すぐに自分に何かできることはないかと考え、災害ボランティアに登録し、その延長で里親のことを知りました。インターネットで「里親って?」と検索し、情報を集めました。

東京だけでも何千人もの親と暮らせない子どもたちがいること、その子たちには親がいないのではなく事情があって一緒に暮らせないこと、自分の周辺ではあまり実感することのなかった世界があることを知りました。それまでは外国の恵まれない子どもたちに募金することはありましたが、日本にそんなにたくさん事情をかかえた子どもたちがいるとは思ってもみませんでした。

私の中の里親さんのイメージは、外国の女優さんのようなお金持ちのイメージでした。でも調べてみると、子育てにかかる費用も、都から支払われることが分かり、「普通の家庭でもなれるんだ!」と、驚きました。

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震災後、「この気ままな生活でいいの?」「何か社会に貢献できることがあるんじゃないの?」と自問自答を繰り返していた時期でした。簡単ではないけれど、もしかしたら里親なら自分にもできるかもしれないと思いました。

 

━━調べてから、すぐ里親に登録したのでしょうか?

 

F子さん 当時は「主人と私+猫1匹」の生活で、気ままにフリーの仕事で週に1、2日ほど働いているのみでしたので、時間がたくさんありました。それでも、いきなり養育家庭はハードルが高かったので、主人に「週末里親をやりたい」と伝え、東京都の「フレンドホーム」に登録しました。

登録してしばらくは、子どものとのご縁はありませんでした。当時は「とにかく困ってる人がいたら助けたい!」という思いが強い時期でしたので、たまたま自宅の裏に育児放棄の子猫を見つけて「猫なら、すぐ助けられる」と保護するようになりました。その後、養育家庭(里親)に登録しました。

 

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たくさんの保護猫のいる暮らし。(写真=ぱくたそ)

 

━━それからしばらくして、Y子ちゃん、続いてM恵さんを迎えたのですね。2人の里子を育てる暮らしは、いかがですか?

 

F子さん 生活スケジュールが、ずいぶん変わりました。それまでは、実子がいないので、夫婦2人暮らしで、ある意味、時間をもて余していました。仕事がない日は、見たくもないテレビをだらだら見たり、ゴロゴロしたり(笑)。

でも今は、朝はM恵さんのお弁当作り(卵焼き、からあげ、ホットサンドが好きです)

に始まり、掃除、洗濯、猫たちのお世話をして仕事にでかけます。帰宅後も、塾のお迎えや、一緒に夕食を囲んだりと、フル活動です。

 

━━お仕事もされていらっしゃるんですね。

 

F子さん はい。Y子ちゃんが低学年のときは、急に熱がでたり、学校や公園でケンカしてきたりだとか、色々と心配ごとがありましたので、仕事はほとんどしていませんでした。でももう5年生になり、だいぶしっかりしてきたと判断し、思い切って仕事を始めました。

結果的に、忙しいけれど、暮らしにメリハリが出たので良かったです。朝食も、おかずを前日に用意しておけば、子どもたちはそれぞれパンを焼いて自分たちで食べてくれます。夕食は、なるべく家族4人で、とるようにしています。みんなおしゃべりなので、だれがしゃべるかで揉めることはありますが(笑)、ワイワイ話しながら食べることが楽しい。

以前とは比べものにならないくらい充実しているなぁと感じます。主人と「人間4人と、たくさんの猫、大家族で幸せだな~」と、いつも話しています。

 

F子さんの仕事がある日のスケジュール
6時

起床 猫にご飯

6時半

M恵さんのお弁当を作る

7時~7時45分

各自が朝食 パパ出勤 子どもたち登校

8時半

出勤

15時半

M恵さん帰宅(週に1度、塾で20時ごろ帰宅)

17時

退勤 買い物をして帰宅

19時45分

塾から帰ってくるY子ちゃんを駅までお迎え(塾、平日3日/週)

20時前

夕食

21時半

Y子ちゃん就寝

23時以降

就寝

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4年間、続けてきた音読カードは、2人の宝物

━━子育てで大切にしていることは?

 

F子さん 子どもたちとは、自分のできる形でかかわりを深めるようにしていいます。Y子ちゃんの通う小学校では、音読の宿題があり、私たちは音読が日課です。私は絵を描くのが好きなので、音読カードを10枚読むごとに、ご褒美の絵を描いて応援しています。

学校のお友達は5~6枚で終わることも多い中、Y子ちゃんは100枚を超えていることも! おかげで、2年生のころには竹取物語も暗記してスラスラと読んでいました。音読カードの影響か、Y子ちゃんも絵を描くのが好きになって、ときどき一緒に絵を描いています。

 

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F子さんとY子ちゃんが、 二人三脚で達成した記録は、
Y子ちゃんにとって自信につながっています。

家族のルールを決めて、出来たら褒める習慣

━━逆に、里子育てで何か気を遣うところはあるんでしょうか?

 

F子さん 最初は様子をみますけれども、あまり気を遣いません。こちらが遠慮すると、子どもたちも察してしまうので、言いたいことは言うし、言葉はわかりやすく直球です。無理もしません。できないことや気が進まないことは、はっきりとノーと言います。

子どもだから仕方ないかと流したり、オブラートに包んだ話し方をするのではなくて、「私はこれをされたら嫌だな(またはうれしい)」と伝えます。家族のルールを決めて、ちゃんと出来たらその時に褒めます。

例えば、子どもたちは猫が大好きなので、猫のお世話も分担していますが、最初はトイレなどの処理を嫌がったんです。でも「かわいがるだけでは、猫は飼えない」「好きなら、ちゃんとお世話してあげないと、猫は生きていけない」「1人でお世話をするのは大変だから手伝ってほしい」ということを伝えました。

今では1日1回、それぞれがトイレの掃除をしてくれます。猫のお世話をすることで、猫からも信頼され、さらに仲良しになっています。

 

━━F子さんにとって、家族とはどのようなものなのでしょう?

 

F子さん 血のつながりはなくても、一緒に生活して、何気ない日常を共有すること。美味しいものを食べたり、遊びにでかけたり。いつか自立していくまでの限られた時間を

一緒に楽しく過ごしたいです。そして家を巣立っても、いつでも帰ってこられる場所でありたいです。

 

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血はつながらなくても家族。※写真はイメージです。(写真=鈴木愛子)

 

 

里親になりたい人へ F子さんからのメッセージ
~里親子だから特別ということはない~

私たち夫婦は実子がおらず、子育てについても初心者でしたので、里子2人を育ててみて「世の中の親御さんは、こんなに大変なのか、子どもを育てるってすごいことなんだ」と感じました。

やってみて、里親子だから大変だとか特別なことはあまりないような気がしています。

最初の一歩を踏み出すのは勇気がいりますが、踏み出してみれば子どもにリードされて日々が過ぎていきます。

ご興味があれば、ぜひチャレンジしていただきたいです。

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